“Paper-Ya(ペーパ屋)”という少し変わった名前のお店がバンクーバーにあります。実は、ペーパー屋はバンクーバーマガジンによって街のベスト・ステイショナリーショップに選ばれた超人気店なのです!
23年間もの間、ペーパー屋はクリエイティブで最先端な発信場所としてあり続けるグランビルアイランド(バンクーバーの人気ショッピング地域)で輝き続けてきました。
日本語の”屋”という言葉が店名に使われている理由も後で分かります。
本当に成功している土地は、私たちの考えや心、魂に”お互いに繋がっている”という感覚をもたらしてくれます。まさに、グランビルアイランドはそういった特別な場所なのです。
遡ると、地域の人の需要に合わせたなユニークなセンスと文化と歴史から生まれたグランビルアイランド。
その周辺は元々、海の街でした。1916年、その周りに防波堤が建てられ、商業施設を設立するために40エーカーもの敷地が作られました。
島にあった商業施設は街へと移動し、今ではグランビルアイランドで都会的な洗練された街並みの一部となっています。
バンクーバーの成長は商業の発展と共にあります。
カナダ政府は1973年、島の管理と開発をCMHC(カナダ抵当・住宅会社)へと移譲しました。
その目的は”海文化を残しつつ、グランビルアイランドを『人々の場所』にする”ことでした。
莫大なスペースが設けられ、アートやクラフト雑貨、海を感じる商品や公営のマーケットなどが収容されています。
ブリキの建物と明るい色でペイントされた大きなドア、そして緑あふれる空間。 店内のものとも全てマッチしています。
中では非営利の公共事業と民間事業が一緒になっていて、美術学校や映画館、レストラン、貯蔵所、そして店やホテルなどが集結しています。
そんな大きな計画の元、出来たグランビルアイランド一帯は他とは違う雰囲気が漂っています。
一帯を構成する建物の1つ、ネットロフトビルに出た提案が”ペーパー屋”の参入でした。その時点で、ペーパー屋はまだ店自体が完成していたわけではなかったのです。
1980年前半、活版印刷スタジオを経営していたデニス・カールソン・ワイルドは当時の島のことをよく知っていました。
『都会な雰囲気を味わいたく、ここら辺のレストランに行っていました。漁業の光景も覚えているしディーゼル車の匂いや古い呉服屋さんのことも記憶にあります。
ネットロフトビル内の空間はまだ未完成な部分もありましたが、本当に広々としていて、垢抜けていました。
そのスペースを使って私は何かを始めたくて、シャリーン・ユエンとコンタクトをとり始めたのです。
彼女は当時、日本で紙作りの見習いとして修行を積んでいました。そして、私は活版印刷事業の傍ら日本製の紙を集めていて、紙専門店を立ち上げたいと思っていました。
シャリーンと私の間には、日本、トロント、ニューヨーク、そして紙という3地点に共通点がありました。その2人の最高の化学反応が素晴らしい傑作を誕生させることになりました。
しかも、今なお廃れることなくずっと続いているのです。』
こんなにも人気店となった今、デニスとシャリーンは未来を予知していたのかのように思えます。
『私たちは”普通とはちょっと違った”ものを編み出すことに努力していました。というのも、冒険のようなワクワク感や興奮を紙製品に込めたかったのです。途中で飽きてしまっていたら、もしどんなに売れていたとしても投げ出していたと思います。
23年間続けてきて、今もこのエネルギーみなぎる店舗で働けていることを誇りに思います。私達は一風変わった、普通に見かけないものを追い求めることにやり甲斐を感じています。
私たちのお店はシックというイメージではなく、可愛らしいものや明るいものをたくさん売っています。
常にお店は変化し続けています。グランビルアイランドは私達を育ててくれました。芸術を作る人は、どれほど良いものを作っていたとしてもきちんと自分が認められる場所を選ぶことが重要だと思います。
オンラインレビューで、『ペーパー屋は紙好きの方ならすぐにハマるに間違いなし!数え切れないほどの紙製品が取り揃えてあり、どれも大量生産された様な”ありきたり”なものではありません。
過去5年間に見つけたお気に入りのステイショナリー商品をピックアップして、それをペーパー屋で探すとほとんどのものは見つけられるでしょう。ペーパ屋では20ヵ国もの国で製造されている製品を取り扱っています。』
デニスによると、ペーパ屋で働く日常は忙しく、夏休みの時期になると1000人ほどのお客様の出入りがあるそう。
テクノロジーが進む世の中、ステイショナリーといういわゆるアナログ的な商品はどのような価値があるか聞いてみました。
『それは私が活版印刷に携わっていた時によく頂いた質問です。確かに活版印刷の時代は終わり、今はオフセットの印刷が当たり前になりました。でも、その発展が逆に活版印刷を芸術という形に変えてステイショナリー業界のビジネスとして成り立っていると思います。
そして、私達はロッシ社を始め、世界中の小さい会社の製品から活版印刷を用いた様々なカードを販売しています。』
『もちろん、ロッシ社の活版印刷を用いた紙が1番のお気に入りです。彼らが生み出す豪華な紙を見て見てください。手作業の活版印刷を駆使しながら、柔らかい紙に色鮮やかで繊細にプレスされたデザインは本当にどれも絶妙てます。私は芸術に関してこだわりが強い方で、私達のお客様もそういった方が多いです。そういう客層まで虜にしてしまうクオリティがロッシ社の紙なのです。』
“もし、ペーパー屋を経営していなかったら何をしてると思いますか?”という質問に対し、デニスは
『それでも芸術を作り続けているはず。私は画家でもあり、わたしもシャリーンもアートの方の仕事で色んなところへ旅しています!紙好きな気持ちは永遠だと思いますが、その根端は美しいものが好きという所にあります。ただ紙が好きなのではなく、”美しい紙”が好きなのです。』
と答えとくれました。
ここで、レビューを1つご紹介。
この店の扉を開けた時のドキドキ感は、何か起こるのではないか?と感じてしまうほど。一度足を踏み入れると、出るのに何年もかかってしまいそうになります。こんな小さな店内を何時間もかけて回っても数分しか経ってないような感覚。あらゆる所に心踊るようなノートや文房具が散らばっています。こんなに小さな場所なのに、最高に楽しい。グランビルに来たら寄らないわけにいけません!』
The Original Paper-Ya Co. Ltd
#9 – 1666 Johnston Street
Vancouver, B.C. Canada
V6H 3S2
phone: 604-684-2531