かつて人々は粘土や葉っぱ、木の皮、動物の皮膚などを使って書き物をしていました。
紀元前22世紀前半、古代エジプト人はパピルスと呼ばれる現代でいうメモ帳や便せんのような紙を使っていました。そう、紙の歴史は2000年も続いているのです。現代的な紙が出来てまだ間もない頃は、麻や木の皮、使い古した服や雑巾などの繊維を使って紙が作られていました。もっと頻繁に紙が使用されるになると、草や桑、竹などの植物の繊維が使われるようになりました。そして紀元後11世紀になってすぐ、日本で誕生したのが再生紙です。今では誰もが知っている“再生紙”は最近生まれたものでもないのです。
ヨーロッパにおいての紙づくりの発展は少し遅く、1800年初期にイギリスでは麻や亜麻、木の皮、ストローから紙を作っていた時代も少しありましたが、当時の人々にとっては古い服や雑巾で出来た紙の方が簡単で使いやすかったようで、他の方法は無視されました。
1840年、アメリカでは手間のかからない方法で繊維質な紙を作るためにマニラ麻(麻の1種)で編まれた古いロープを使って紙を作っていました。マニラ麻で出来た封筒は現在でも使われています。
木の繊維を材料に紙が作られるようになってまだ100年ちょっとしか経ちません。紙への需要が高まるにつれ、一定して繊維を抽出できると思われている資源=木が今ではメジャーな製紙材料となっています。でも、もちろんこのまま木を伐採し続けると森林はいつか消えてしまいます。
考えてみて下さい。1日3本の木が収穫される中、実際に紙の材料となるのはその内1本だけということを。悲しいことに、紙の需要が高まるにつれ成長した木は切り落とされ続けます。このように森林を壊していくだけなく、製紙工場は塩素漂白剤をたっぷり使っているので生産する時にも有害物質を発生しているのです。
そこで、今注目されているのが再生紙。再生紙も元々は木の繊維から出来ていることには変わりありませんが、新たに木を伐採しなくて済むというのが大きな違います。それに、有害物質が発生せずに生産することができます。
今、世界中で“材料を再利用しよう”というマインドの元、木材を極力使って紙を作るようにする上で再生紙を使うことが推奨されています。
環境問題への意識が日々高まってきている中、将来的にはきっと劣悪な環境下でも健康に育つ植物を使った完全ツリーフリーペーパーが誕生するでしょう。そうなると、環境に優しい資源で且つエネルギーの消費を抑えて紙が作れるようになります。インドや中国でツリーフリーペーパーを作ることは少し難しいのですが、需要がある限り供給は追いつくものです。
~木に代わる繊維を使ったツリーフリーペーパー~
タバコ: タバコの葉の繊維を1トン使うと、17本の木を切り落とさなくて済むと言われています。タバコを作る工程で葉脈から葉だけが切り離されるので、そのまま製紙材料として使うことができます。さらに、有害物質が発生することなく紙を生産できます。
コーヒー豆:私たちが知っている飲料用に加工されたコーヒー豆は中の小さな豆と周りの皮が取り除かれた状態です。実は、処分されるコーヒー豆の皮から繊維質な紙を作ることができます。
ケナフ:ケナフは西方面で育つハイビスカスの1種ですが、南米やイタリアにおいても見つけることができます。次世代において最も有望な製紙材料と考えられています。
マンゴー:マンゴーを材料とした紙は通常タイで作られていて、楮(こうぞ)と呼ばれる桑の1種にマンゴーの葉を混ぜて作られています。
バナナ:実がなった後のバナナの木の皮を使って有害物質を発生させることなく様々な紙製品を作ることできます。
ジュート: 茶色っぽい色でざらざらした手触りが特徴のジュート(帆布や袋などの材料)はクラフトストアですぐに手に入ります。とても上質なライティングペーパーを作るのに最適な材料です。
ストロー: 気の繊維とストローの繊維が似ていることから、私たちが普段使っている紙と同じような紙質を再現できます。
タマリンド:マメ科植物の1種。タマリンドの木から作られた紙には花びらや葉が入っているのが見えます。
ココナッツ:従来、ココナッツの皮は処分され続けてきました。でも、その繊維で厚めのしっかりとした手触りの紙を作ることができます。
麻: 産業用の麻はとても多様に使える上に育てるのも簡単です。繊維がとても強く、あのトーマス・ジェファーソンがアメリカ独立宣言を原稿にしたのもこの麻の紙でした。
綿:100%綿で出来た雑巾や服、生地を使った紙づくりの歴史は100年間も続いています。大切な書類を印刷するのに使われることが多いです。
嬉しいことに、ツリーフリーペーパーの生産は少しづつ進歩しています。現在最低でも45ヶ国300個の工場でツリーフリーペーパーが製造されていて、ロッシ社も環境問題に真剣に取り組んでいる企業の1つです。ここで、ツリーフリーの廃棄物から作ったペーパーコレクションをご紹介します。
~エコなイタリアンペーパー~
これらのエコな紙は、製紙材料である木の15%を有機物から出た残留物に変えて作られました。柑橘類のフルーツやキウイ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ラベンダーから採れた副産物は従来動物たちのエサや肥料として加工されてきましたが、紙に変えることで生きた自然の材料となるのです。紙の表面に材料の繊維が見え、独特な見た目と手触りがあります。*FSC認証済みで、30%の廃棄物が含まれていて100%クリーンなエネルギーで生産されています。この生産プロセスはヨーロッパの特許によって保護されています。
*FSC認証とはForest Stewardship Councilの略。世界中で持続可能な林業の実践を促進するために活動している組織です。 森林管理協議会によって設定された森林産物の環境基準を満たしていると認証が得られます。その基準は、環境を配慮した紙または木材は木材であることと社会的責任を持った上で経済的に実行可能な方法で生産されているかという内容になっています。
魚がプリントされたこちらの活版印刷のはがきは、とても古い印刷機で印刷されたもの。*“Shiro alga(シロアルガ)”と呼ばれるイタリアンペーパーで、藻とFSC認証済みの材料で作られた上質な紙です。放置しておくとどんどん海域を塞ぎ込んでしまう藻を使った環境に完全無害でリサイクル可能な超エコな紙と言えるでしょう。
*Shiro algaは90年代初期、アドリア海の汚染によってベネチアの貯水池に大量の藻が発生したことをきっかけに誕生した環境に優しい紙です。Shiro Algaが作られた結果、魚たちを死に追いやる原因であった水中での酸素の発生が減りました。作り方は、まず貯水池から藻をかき集めて粉々に砕きます。その粉をFSC認証済みの繊維と組み合わせることで、表面に藻の斑点がポツポツと見えるエコな紙が出来上がります。毎年5万メートルもの大量の藻がかき集められ、それは3万メートルもの製紙材料の木に相当します。
ノートブックとノートパッド
古風なイタリアの雰囲気漂う活版印刷のはがきはお揃いの封筒とタグ付きで提供しています。オーガニックの柑橘フルーツの残留物を使った上質な紙で、こちらも上で紹介した製品と同じく、古い印刷機で印刷されていてます。
合わせて6枚のヴィンテージ&ラグジュアリーなデザインのノートブックとノートパッドがセットです。
詳しくはこちらをご覧ください: https://www.rossi1931.com
ロッシ社製品の多くは環境に優しい工程で生産されています。この環境に配慮した紙づくりは今後伸ばしていきたい分野であり、もっと簡単且つシンプルな提供フローを組むことでお客様に“スマートで地球にとって正しい”選択を提供していく予定でず。ロッシ社が持続可能な方法で多くの人に紙を提供することで、次世代に向けて地球を守っていけたらと願っています。